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「・・・お父さんとお母さんは・・・強かった・・・?」
ユウリは一言、尋ねてみた。
「俺がお前の宝モンを奪ったなんつったら、ジェット機ごと突っ込んできそうだ」
男がははっと笑う。
「・・・返してよ」
ユウリは今度は静かにそう言うと、片手を伸ばした。
「・・・。まぁ、待て・・・」
男は意味ありげに呟くと、ペンダントをじっと見つめた。
「ジューク、アジトに戻る」
「あぁ」
男は金髪の男、ジュークに操縦指示を出すと、黙って前を向いてしまった。
「あなたも来るのよ。・・・大丈夫、取って食べやしないわ」
「・・・何かあるの・・・?ペンダントを奪った警官みたいな人達が、それを見てびっくりしてて・・・アルギアのためになるとかなんとか言って・・・。」
「・・・」
ユウリの不安気な問いには、三人共沈黙した。
「ねぇ、それは何かの鍵なの?
でもそれ、お父さんとお母さんがくれたんだけど・・・」
「分かったから、待てって言ってんだろ。
めんどくせーことになったけど、マクハンの子供だってんなら、仕方ねぇ。
説明してやるから少し黙ってろ、このせっかち娘」
「せっ・・・」
(せっかち娘ぇ?)
黒髪め、とユウリは一睨みをきかせる。
「ユウリ・マクハンって言うんだけど」
「知るか。聞いてねーよ」「覚えといてよね!」
「何で?つか、俺さっき黙ってろっつったよな?
猿みたいに騒ぐなよ」
こっちを見もしないで、余裕そうな受け答えだ。
完全に、子供をからかっているだけのように見える。
何で自分は、この変な人達と一緒にいるんだろう?
そんな疑問も浮かびはしたが、ペンダントを握られているのだから仕方ない。
そのうち黒いジェット機は、空に浮かぶアルギア帝国の下層部に近づいた。
帝国の地面の下に当たる部分に、側面からみて穴が空いている。
まるで鳥の巣かのようなその穴に、ジェット機は入りこんだ。
「アジトだ。口外禁止。口滑らせたら締め上げるぜぇ」
怪人みたいな男は、人差し指で自分の太い首をなぞって見せた。
暗い洞窟のようなそこは、奥まで続いていた。
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