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空賊のアジトと言えば、宝の山を想像していたが、そんなユウリのわずかな期待は消え失せた。
「・・・なんもないね」
ユウリは正直に言ってみた。
「おめーなぁ、この土のにおいに漂う、空賊のロマンがわかんねーのかぁ?」
「何がロマンよ、空賊のロマンは空じゃないの?」
怪人ドルに、女性はやれやれと反論した。
キレだけが敷かれている土の床に、男達はどかどか座り始めた。
女性は木箱に腰掛ける。
「鍵の話しだったか」
黒髪が唐突に切り出して、ユウリは3回も頷いた。
「オレぁもったいぶんのは嫌いだぜぇ。いいか小娘、さっさと説明しちまえばこりゃ、ただの鍵じゃねえ。
こいつぁ魔の鍵でウ゛ェロニカを復活させるから、政府にゃわたしちゃいけねんだ」
「ドル、そんなんじゃ分からないだろう」
落ち着けとばかりに、ジュークが言う。
ユウリの中で、今のところジュークの印象は良い。
できることなら、彼が説明してくれないかと思った。
しかし、口を開いたのは黒髪だった。
「そいつは魔の扉を開ける鍵・・・。アルギア帝国には、最強の武力艦艇が眠っているんだ。恐らるる空中艦艇・・・"ウ゛ェロニカ"」
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