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それから、16年の歳月が経った。
二人の愛した子供は、16歳の少女になっていた。
栗のように茶色い髪をサイドに束ね、同じく茶色い目をキラキラさせた、勇敢で恐いもの知らずの少女だ。
ブロロロロッ・・・・
空中都市、アルギア帝国領域の空を、それはおんぼろな航空機が飛行していた。
ブロロロロッ・・・ガガガッ・・ガコッ。
「ああっ、ほら、頑張って!ちょっと風が吹いただけなんだから、しっかり!」
乗り手の少女は、風に煽られて危ない音を発する機体を、バシバシと叩いた。
少女の名は、ユウリ。若干16歳の少女は一人で、空中飛行を楽しんでいたところだった。
しかし、ゴミ捨て場のような所から見つけ出した、壊れかけたジェット機は先ほどから危なっかしい。
ガガガガッガコップシューッ・・・
「えっ?ちょ、ちょっと待って!ダメダメダメっ」
ついに、少女を乗せた赤い航空機は可哀相に、空中で力尽きるように停止した。
一人そこに乗る少女は、どうすることもなく機体に捕まった。
「わぁぁあああぁぁ・・・・」
まるで急降下する鳥の如く、少女を乗せた赤いジェットはアルギア帝国のすぐ側を落下していった。
何もかも頭から消し飛んだ少女は、とっさに、首もとにかけていた
ペンダントを握っていた。
金色に光る鍵型のペンダントが、握られた手の隙間から、太陽に照らされキラリと光った。
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