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「・・・ん・・・お嬢ちゃん・・!大丈夫か!?」
ユウリは目を開けた。
視界がぼやける。仰向けに見上げた空がまぶしくて、思わず目を細めた。
「おぉっ、気がついたか!」
「大丈夫か!?」
知らない男の人がいる。
ユウリは、ゆっくり起き上がりながら、まず事を理解しようとした。
「びっくりさせられたよ・・・意識はあるか?」
「え・・・あたし・・・あっ!ジョニーは!?」
ユウリは、自分が全く知らないジェットに乗せられていることに気がついた。
助けてくれた人達は制服を着た、警察みたいな軍隊みたいな感じに見える。
「ジョニぃ・・・?」
「あたしのジェット機!赤いやつ・・!」
ユウリはボロ船の嫌な結末を想像した。
4人の男達は、揃って顔を見合わせる。
そのうち、1人の男が言いにくそうに口を開いた。
「・・・あぁ。君のジェット機は・・・残念ながら、空下だよ」
男は雲の下を指差しながら、頭を振って見せた。
空の世界では、地上のことを空下と呼ぶらしい。
地上と違って、空にいる自分達の視点が中心なのだから、地上は地の上ではなく、空より下にある地だからだ。
「・・そんな・・・!!」
「ほら、危ないぞ!」
機体から身体を乗り出して、見えない空下を覗き込むユウリを、男達は慌てて引っ張った。
(・・・そんな・・・今日、拾ったばっかりだったのに・・・)
愕然とするユウリの気を紛らわすように、運転手の男が振り返った。
「ずっとネックレス握ってるけど、お守りか何かか?」
そう言われて、ユウリは自分の右手が、大切なペンダントを握りしめていることに気がついた。
「これは・・・うん。お守り・・」
ユウリはゆっくりと、手を開いて見せてやった。
さびも知らない輝きで、鍵が一つだけ、革紐にぶら下がっている。
途端に、男達の顔が硬直した。
「・・・お前っ・・・それ・・!」
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