空の世界

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「絞め殺しちゃいねーだろうな、ドル?」 ジェット機の上に顔を出すと、まず始めに運転席にいた、黒髪の男が目に入った。 「まぁ、本当にまだちっちゃなお嬢ちゃんじゃないの」 続いて、後ろから女の人の声がする。 あまりに色々が突然で、わけがわからなくなった。 「え・・・っと・・」 とりあえず、突如現れた黒のジェット機の上に、自分はいる。 もしやこれは、誘拐ではないのかと思えた時、ユウリを抱えていた男が手を離した。 「何が起きたんだって顔してんな」 運転席の黒髪の男が言った。 ユウリはぐるっと機内を見回してみた。 そこには、4人の見知らぬ顔があった。 黒髪の運転主、ユウリを抱えていた怪人、ロングヘアの美人な女性に、金髪を後ろで束ねた助手席の男だ。 「いいか、お前なぁ・・・。地面でボケーっと突っ立ってたって、欲しい物は手に入んないんだぜ」 黒髪の男は左手を持ち上げ、握っているペンダントを見せびらかした。 「それっ・・!・・ぁいたっ」 ユウリはガバッと立ち上がったが、透明な天井に頭をぶつけた。 ユウリを抱えていた怪人が、デカい声でガハガハ笑った。 黒髪の男も鼻で笑い、女性もクスリと笑う。 「これ、お前のなんだろが?そんな大事なら、簡単に盗まれてどーすんだよ」 目の前にペンダントが戻って、ユウリは全身の空気が抜けるかのような安心感に襲われた。 「・・ありがとう・・・すごい大事なものだったんだ・・・・」 「ありがとうだってよ」 怪人の男が、目を見開いて笑った。 黒髪の男が、運転席からちらりと振り返ってユウリを見た。 顔にかかった前髪の隙間から、切れ長の目がいたずらに光った。 「おいおい、そんな感謝されちゃこまるぜ。誰が取り返してやったって言った? こりゃ俺達が奴らから奪ったまでだ。つまり俺達のもんだ。 欲しけりゃ、俺達から奪うんだな」 「なっ・・・・」 (何だそれー・・・!!)
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