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男達の発言に、ユウリは開いた口が塞がらなかった。
「何言ってんの・・・!?返してもらわなきゃこまるよ!何者だよあんた達・・・!」
「強気な物言いね」
女性は、ウェーブがかった長い髪を、くねりと手にからませた。
「聞いて驚け」
怪人が勿体振る。
「西のリングストン帝国、東のアルギア帝国に名を馳せる空賊、グリーディング団とは俺様のことだ!・・・じゃねぇ、俺達のことだ!」
「・・・・ふぅん・・そうなんだ」
ユウリの反応に、一同は一斉に振り向いた。
「こりゃたまげたな。俺達のことを知らないとは・・・君こそ何者だ?」
助手席にいた金髪の男が言う。
(なんだこの人達・・・そんなに自分達が有名だと思ってんの・・?)
「空賊だよ!今日、空に出たばかりだから、あんた達のことなんか知らないよ」
「くうぞくぅ?」
途端に、一同はギャハギャハ笑い出した。
「何が可笑しいんだよっ」
ユウリの顔は赤く染まった。
「空賊っておめー、わらかすんじゃねぇよ」
「面白い子ね」
「失礼な!みんなして笑って!」
ユウリはムキになって怒鳴ったが、運転席の男が振り向き、口をつぐんだ。
「・・・お前さ、なんで空賊になったの?しかも一人で・・・迷子か?」
「違うよ!あたしはっ・・・空の人間になりたかったんだ!一人で生きなきゃいけないから・・・空賊になったんだよ。自由に、強く一人で生きて行くなら、空で生きたかった」
ユウリの目を見つめると、男は一度小さく笑ったかと思うと、針のような鋭い視線に一変した。
「お前さ・・・空賊なめんな」
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