裏門の少女

3/7
前へ
/25ページ
次へ
「こらぁ!」 ゴンッ 「いって・・」 しかしすぐに、固い物が頭を直撃。 担任が教科書の束を抱えて、すぐ横に仁王立ちしていた。 「新しい教科書、取りに来なさいよ!」 「あーごめんゴメン。床置いといて」 担任の弥白 みくる(ヤシロ ミクル)は、ボブがよく似合う若い教師だった。 なんだかんだ、皆からの人気もあるし、必要以上にはうるさくない。 白いブラウスを清楚に着込み、小柄な体を張って指導するあたり、教師の間でもウケがよかった。 「あー、オレミルクが担任でよかったわ・・・」 リクは机に突っ伏したまま、正直に言った。 「何寝ぼけたこと言ってんのよ、ほら起きて。あとでその髪、スプレーしてあげるから」 「えー、やだし。ミルクやったことある?あれ3回くらい髪洗わねーと、落ちねーんだよ~」 キーンコーン カーンコーン・・・ 「はーい、じゃ皆休み時間にして~!」 チャイムのおかげで、黒染めスプレーはお流しになった。 休み時間、リクの机には毎度、人が群がってくる。 今日はその前に、いつもの2人組が寄ってきた。 「なーリク自販行こーぜ!喉渇いちったよ~」 「オレも~」 「おー」 春輝(ハルキ)と、昌秋(マサアキ)だ。 童顔で小柄な春輝と、ガタイの良い長身の昌秋。 まさしく、学年の凸凹コンビだ。「昨日給料日だったんだよな~!札しかねーや!なんって!今日オレリッチだわ~」 「確か下の自販、10円切れだったけど」 「げっまじか!わり、昌秋小銭貸して!いつか返すから!」 「はいはい」 うるさくてやんちゃな春輝と、冷静でマイペースな昌秋に挟まれ、リクはリクなりに気楽な日々を送っている。 「ハルくーん、あたしにも何か買ってきて~」 「えー?お茶でいー?」 「苺ミルクー!」 「はーいよ~」 「誰の金だよ」 勝手に女子生徒と約束を付ける春輝を見て、リクは昌秋の心内を、代弁してみた。 昌秋は困ったように笑った。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加