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「こらぁ!」
ゴンッ
「いって・・」
しかしすぐに、固い物が頭を直撃。
担任が教科書の束を抱えて、すぐ横に仁王立ちしていた。
「新しい教科書、取りに来なさいよ!」
「あーごめんゴメン。床置いといて」
担任の弥白 みくる(ヤシロ ミクル)は、ボブがよく似合う若い教師だった。
なんだかんだ、皆からの人気もあるし、必要以上にはうるさくない。
白いブラウスを清楚に着込み、小柄な体を張って指導するあたり、教師の間でもウケがよかった。
「あー、オレミルクが担任でよかったわ・・・」
リクは机に突っ伏したまま、正直に言った。
「何寝ぼけたこと言ってんのよ、ほら起きて。あとでその髪、スプレーしてあげるから」
「えー、やだし。ミルクやったことある?あれ3回くらい髪洗わねーと、落ちねーんだよ~」
キーンコーン カーンコーン・・・
「はーい、じゃ皆休み時間にして~!」
チャイムのおかげで、黒染めスプレーはお流しになった。
休み時間、リクの机には毎度、人が群がってくる。
今日はその前に、いつもの2人組が寄ってきた。
「なーリク自販行こーぜ!喉渇いちったよ~」
「オレも~」
「おー」
春輝(ハルキ)と、昌秋(マサアキ)だ。
童顔で小柄な春輝と、ガタイの良い長身の昌秋。
まさしく、学年の凸凹コンビだ。「昨日給料日だったんだよな~!札しかねーや!なんって!今日オレリッチだわ~」
「確か下の自販、10円切れだったけど」
「げっまじか!わり、昌秋小銭貸して!いつか返すから!」
「はいはい」
うるさくてやんちゃな春輝と、冷静でマイペースな昌秋に挟まれ、リクはリクなりに気楽な日々を送っている。
「ハルくーん、あたしにも何か買ってきて~」
「えー?お茶でいー?」
「苺ミルクー!」
「はーいよ~」
「誰の金だよ」
勝手に女子生徒と約束を付ける春輝を見て、リクは昌秋の心内を、代弁してみた。
昌秋は困ったように笑った。
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