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6時間目のチャイムが合図で、学校は終わり。
生徒達はガヤガヤ残っていたり、部活に行ったり居残りさせられたり、さっさと帰ったりする。
リクは、柔道部の勧誘を受ける昌秋を置いて、ハルと共に学校を出た。
「あれっ?やっべ、財布置いてきた!」
「はぁ?」
ハルは鞄をまさぐった。
「うっわまじかよ~・・・ちょ、待っててくんね?取ってくるわ!」
「ばーか」
ハルは鞄をその場に投げ捨てると、バタバタと戻って行った。
正門からは、駐輪場の向こうに裏門が見える。
何故か今年は、正門よりも裏門の方が、沢山桜が咲いているようだ。
「・・・あ?」
ふとみた裏門に、今朝の少女の姿を見つけた。
しかし一人じゃない。
何人かの男子生徒に、囲まれているみたいだ。
リクは少しの間、そのようすを見ていた。
もちろん、知らないふりをして見ているというのが、残念ながら一般的な選択肢だろう。
しかしリクにはリクなりに、正義感というものがある。
それに、群がる男子共は一年坊だ。
(・・・入学早々、何やってんだよ、あのガキ共。)
リクは仕方なしに、ハルの鞄を置いて駐輪場を通り抜けた。
「なーんだ、同じ年じゃんね!誰か待ってんの?」
「あの・・・はい」
「誰だれ1年生の人~?彼女さん?」
「いえ・・・」
4人もの男子に取り囲まれ、少女は朝リクが見たような、明るさと気さくさはないようだった。
あたし桜の精なの!
なーんて言ってるようにも、見えない。
「おい、おめーら」
リクは両手をポケットにしまいこんだまま、一年坊達を見下ろした。
一年坊達は、突然の声に振り返る。
一瞬、ギョッとした。
ぱっと見明らか、関わりたくないような、先輩だったからだ。
「あっ、せ、先輩の彼女さんっすかぁ?な、何か困ってたみたいだったんで・・・なぁ?」
「そうっす。・・・なんか、すいませんね・・・」
「・・じゃ、俺達これで・・・」
男子共は、ヘコヘコしながら早速と立ち去った。
桜満開の裏門。
後には、リクと少女だけが残された。
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