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「うわぁ!来てくれた!」
少女は大袈裟なほど嬉しそうに、両手をパンッと合わせた。
「あ?・・・あー、たまたまな。・・・んじゃ」
リクは早々に立ち去ろうとした。
勘違いされては困る。ただ、正義感が働いてしまっただけなのだから。
「ねぇ、待って!お名前、何て言うの?」
リクは足を止めて、振り向いた。
風に吹かれた花びらを受けながら、少女は純粋な笑顔を向けている。
(・・・普通の人・・・っぽいのにな。
もしや、今朝はオレ、寝ぼけてたんかな。)
「名前なんて聞いてどーすんだよ。・・・てか、お前本当ここで何してんの?」
人を待ってる、とか。
もしくは転校生なの、とか。
そういう普通の返事を期待して、リクは聞いてみた。
「あなたとお友達になりたくて!待ってたの!」
リクはげんなりした。
・・・まじ、意味不明だ。
「あっそ。わりーけど友達には困ってねんだわ。
待ってられてもこえーから、そういうのやめてくんね」
思い出した。一年前、入学早々に女の先輩達に、やたら声をかけられたことを。
遊ぼうだの、名前はだの、クラスはとか・・・
面倒なことは、全て断って蹴散らしてきた。
最近じゃ、それを分かってその手の声は、かからない。
この謎な少女も、その類か。・・・ま、ちょっと異質ではあるが。
「そっか・・・あなたは沢山、お友達がいるのね」
「はぁ?」
「ね、お友達って、どうやって作るのかな?
あたしも、どうしてもお友達が欲しいんだ・・・!」
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