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そこで少年は知る。
神の心の存在を。
村人は、彼女に心は無いのだと思っていた。何も喋らないから。何も反応を示さないから。
だけどそれは違うのだと、少年は大人に訴えた。突き飛ばされても、殴られても、彼女の解放を願い続ける。時に涙を流し、時に声を枯らしながら、少年は大人にしがみつく。
彼女を解放してほしい。
神にも心があるのだと。
少年は優しすぎた。
子供の心は純粋すぎる。
だからこそ。
少年は殺された。
他の誰でもない、実の親によって。
神に心を奪われた子。
神に精神を操られた子。
それが少年の『罪』。
少年が死んだ。
自分が殺したくせに、村人は彼女を忌み嫌うようになった。
子供の純心を汚す神。
子供を惑わせ自分に魅入らす神。
それが彼女の『罪』。
彼女の鎖が、また増えた。
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