運命の歯車

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「長く生きれないよ。私と共になんてもったいない」 「いいえ。私はすでに輝明様がいなければ、歯車を錆びさせて朽ちるだけでした。命をくださったあなたに捧げることができないならば、動く意味もありません」 「そうか、帰蝶」 「はい」 「共に逝こうか」 「はい」  伸ばされた腕に触れ、私は瞳を伏せた。  この身が人形であるから、病気が移らない。だからこそ、側にいれる。共に逝くことを願いながらも、少しでも長く現在(いま)を共に生きたい。
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