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-むかしむかしのちいさなおはなし。
だれもしらないおはなし。
ひとりぼっちのにんぎょうがいました。
どこでうまれたのかも、じぶんがだれかもわからない
にんぎょうは、「たびのうたうたい」でした。
かえるばしょをさがして
うたうことしかできなくて
いろんなくにをあるきました。
からだはぼろぼろ
ゆびはすりきれ ある日とうとう、うたうことができなくなりました。
<うたうたい>だったにんぎょうは、かなしくなってないていると、ひとりのろうばがにんぎょうにはなしかけました。
「どうしてないているんだい?」
にんぎょうはこたえました。
『…う…た……うたい、たい……もう、ったえ…な……い……』
かわいそうになったろうばは、にんぎょうをなおしてあげたのです。
にんぎょうはうまれかわりました。
そして、にんぎょうはおばあさんのために<詩>をうたいつづけました
そして----
ちょうどスミレのはながさくころの
ちいさなちいさなものがたり。
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