<詩謡い>

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街を見下ろせるとある高台。かつてこの場所も人々に愛されていたはずの、そして今はただの草叢。 「………………」 そんな所に青年が一人 薄汚れた不思議な服装をして、何処かのギター楽器の様な楽器を大切そうに抱えながら、地面を踏み締める サクッ サクッ と乾いた地面を踏み締めて、ちょうど街を見下ろせる所に立つ 広がるのは、青年が昔あれだけ嫌いだった平和な街 寂しくて恋しい街 けれど青年は、街を見下ろすだけで、止まったままクルリと軽やかに後ろを振り返った すると青年の目の前には朽ちかけた岩の様な、けれど確かに人の手による物だとわかる石碑の様な物がひとつ、ぽつんとあった 青年は何処かぎこちなくまるで指揮者の様なお辞儀をして、口を開いた- 「僕は-----」
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