きっかけ

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「和泉ー、そこの絵の具とってー」 「は、はぁいっ、えっと……どうぞ」 「ももー、雑巾ちょうだいー」 「ついでにそこにあるバケツもとってー」 ……あぁっ。もう! うるさいうるさいっ!! なんで、わたしばっかりぱしられなきゃいけないのよ。 今は、部活中。美術部に所属しているわたしは、今、美術室で絵を描いている……はずなのだが。 「雑巾……ちょっと待ってください~」 1年生でまだこの学校にも部活にも入ってから1ヶ月ほどしかたっていないわたしは先輩たちの言いなりだ。 今年入った1年生はわたしを含めて、10人。 だがもうそのうち3人ほどが幽霊部員と化している。 そんなわけで実質7人のうち、たぶん1番気の弱いであろうわたしは先輩たちのいい召使あつかいだ。 「ちょっと先輩方、そんなに和泉をつかうと可哀相ですよ。こんなに小さいのに疲れでよけいに縮んで小人になってしまいます」
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