きっかけ

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「そうですね」 わたしたちの美術部には、鍵当番といって、2人ずつペアになってやらなくてはいけないものがある。 鍵当番の仕事 その①美術室の鍵、窓の鍵を閉める その②鍵を職員室の鍵を決められた場所にかけておく はやくみんなが出てくれないと鍵を閉めるに閉められないなぁ。 「ほら、みんな早く出て~」 大村先輩がみんなに呼び掛ける。 さすがは、先輩。わたしにはできません……。 ……まぁ、暇だし窓でも閉めてくるか。 窓を閉めにいくと、田中くんが閉めてくれていた。 「………あ、ごめん。ありがと。あとわたしがやるよ?わたしの仕事だし……」 「いいよ、別に。こっち僕やるからあっちの窓、閉めてきたら?」 田中くんは窓をしめながらあごで反対側の窓を示した。 一度、いいよ、と言われてしまうと、なんかもう、言いにくいので素直に感謝することにする。 「………ごめんね。ありがとー」 気付けば美術室にいる人はもう、わたしと田中くん、それに大村先輩だけになっていた。
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