きっかけ

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「ももちゃん、窓の鍵は全部閉めたー?」 大村先輩がこちらを見てなぜかにやにやと笑いながら話しかけてくる。 「あ、はい。田中くんも手伝ってくれて……」 「僕は別に。あ、じゃあお疲れ様でした」 そう言って田中くんは美術室から姿を消した。 「ねぇねぇ、ももちゃんと田中くんってどんな関係なの??」 大村先輩が興奮気味にわたしに聞く。 どんなもこんなも、ほとんど話したことないんだけどなぁ……。 「何もないですよ~」 苦笑いものだよ、これは。 「ほんとにー??今日部活中に、田中くんってばももちゃんのことかばってたじゃん?てっきりそういう関係なのかと思ったぁ」 つまらなそうに大村先輩がため息をつく。 「そんなこと言われても……話したことほとんどないですし……、あ、ドアの鍵わたし閉めますよ」 鍵を閉め、職員室に向かう。 「ももちゃんは、彼氏とかいないのー??」 すごく楽しそうに聞いてくる。 「いやぁ、いないですねー。むしろ興味もないんですよねー。先輩は可愛いですし、彼氏いそうです」 お世辞じゃなくて素で答えた。
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