きっかけ

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田中くんは鍵を自転車にさした。 「よ、よかったね……。あ、あはは」 ぎこちなくわたしは声を発した。 人見知りって面倒だわぁ……。 「…疲れて小人になる前に早く帰れよー」 「……なっ!!」 田中くんがいたずらっ子の様に笑った。 「つ、疲れたって、小人になんかならないもんっ」 「あぁ、なるほど。和泉はすでに小人か」 こ、こいつ……。絶対サドだっ。 「ちがうーっ。まだ伸びるもん……たぶん」 そんな自信どこにもないからどうしたって目をそらしてしまう。 「部活の時もそれくらい言い返したら?そしたらぱしられることなんてなくなると思うけど」 へっ………?? な、なに?心配してくれてたの……かな。 状況がいまいち分からなくてそろそろっと田中くんの方を見る。 さっきのいたずらっ子な顔から一変。まじめな顔をしてこちらを見ていた。 ど、どうしよう…。 なんか恥ずかしい。 「………ありがと」 わたしは可愛げもなくそっぽを向きながらそう言った。
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