R.B.

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「魔物って言うのはね、まぁ、人を襲う化け物の総称よ。  化け物だから、当然賊とかじゃなくて異形の者ね」  聞いたこともないが、幽霊の類のように素質のあるものにしか認識できないような存在なのだろうか。 「昔からいるのか?」 「ここ二、三年前ってとこかしらぁ」  ずいぶんと最近だな。 「で、その化け物と俺がここにつれて来られたのにどう関係が?」 「そうそう。  魔物退治のスペシャリストに勇者って職業があるんだけどね、アタシがそれなわけぇ」 「だから?」  人に害をなす魔物を倒す。 そりゃ結構な話だ。 だが、俺は無関係なはずだ。 「察しが悪いわねぇ……。  単刀直入に言えば、助手……というか仲間になって欲しいわけ」 「待てよ!  俺は戦いなんてしたことがない。  それに、凶器になりそうな物だって鋏やカッターとか包丁しか持ったことがないんだぞ?」 「大丈夫よ」  なにがどう大丈夫なのか、俺にはさっぱりわからなかった。 ただ、何を言っても最終的に行き着く結果は同じな気がして、反論する気は起きなかった。 「……」 「魔物の出現の弊害……かどうかは知らないけど、特殊な能力を持つ存在、まぁ異能者が現れだしたの」 「俺がそれだって言いたいのか?」 「予備軍ってところかしらねぇ」  それはおかしいはずだ。 俺のことはある程度わかっているつもりだが、そんなものの兆しを感じたことなんてない。 「そんな異能者だなんて非現実的なこと、信じられるかよ」 「百聞は一見に如かずって言うものねぇ」  俺の膝に後ろから何かが触れた。 「な、なんだ?」  心陽は目の前にいる。 なら、考えられるのはグリントだけだが、あいつは入室前にノックをするだろうし、なにより、扉が開く音なんてしなかった。
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