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4
「真知、起きろ」
裸のまま、シーツに包まっていた
真知を抱き起こす。
「...?」
目をこすりながら真知は俺を見る。
「洋服、買いに行こう。真知の」
そう言うと、表情が明るくなり真知は小走りでクローゼットに向かった。
「着替えたか?」
俺が声を掛けると真知はぎゅうっと抱きついてくる。
彼女の白い体を纏う、真っ黒な無地のワンピース。
細い二の腕に彫られた数字。
「可愛いの、買おうな。」
真知はニコリと笑った
兎症候群の人型の薬は、柄の入った服を着てはいけない。
何故かは知らない、柄入りを着せた患者の薬は病院に回収されたらしいが。
真知を連れてかれるのは嫌だ。
無地で我慢しよう。
「行くよ、真知」
玄関でそう言うと、真知はぎゅうっと俺の手を握った。
(どうやら俺の手が小刻みに震えているのが彼女にはわかったようだ)
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