第3話足

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足 「今日で最後か。それにしてもなんでこんな暑いのに、布団に包まって寝なきゃいけないんだ」 こんなことを言いながら寝ている吉岡なぜ彼がこんなことをしなければいけないのか。 それにはこんな理由があったからなのです。 1週間前のことです。 川原と、佐々木という2人の友達が彼のマンションに遊びにやって来ました。 学校の話しなどでもりあがった頃、川原が突然「怖い話を教えてやるよ」と言ったのだ。 ちょうど夏の盛りだったので「涼しくなるしいいね」などと言いながら、川原の話しが始まったのでした。 「あるところに老夫婦が住んでいた。その老夫婦のお婆さんのほうは、足が悪くほとんど寝たきりの状態だったんだが、夫がほとんど身の回りの世話をしていた。 そんなある日、夫が用があるといって外出した。 ところが、夫はいつまでたっても帰ってこない。 まちわびた妻は、思い切って夫の外出先に電話をすることにした。それが間違いの元となった。 足が悪かったせいもあって、妻は手すりにつかまりながら、下に置いてある電話へと向かおうとしたのだが、階段から足を踏み外して転げ落ちてしまった。 仕事をすませた夫が帰ってくると、そこには、見るも無残な妻の姿があった。 夫は急いで救急車を呼んだのだが、足の病気に何時間も放置されていたということも重なって妻は死んでしまった。」 「俺の話しは、とりあえずこれで終わりだ」 「それで、その後夫はどうなったんだ?」と佐々木が聞くのだが、川原は「さぁね。俺には分からない」と言うばかり。 吉岡も「どうしてだよ。ぜんぜん怖くないぞ、しかもとりあえずってどういう意味だよ」と聞くと、 「いいか、この話しを聞いたら、少なくとも一週間は布団から身体の一部を出して寝てはいけないんだ、もしも破ったらとんでもない災難が降りかかるからな」 しかし、どうしても信じられない吉岡は、1週間後にこの近くの喫茶店で合うことにしようということになった。 そんなわけで今に至ったわけなのである。 そして1週間たった朝、吉岡は自分の部屋のドアを叩く音で目が覚めた。 そこにいたのが、川原だった。 「どうしたんだ」と聞くと、川原は「佐々木が死んだ……。」 と言った…。 その時吉岡は背筋が凍りついてしまった……。 足 終
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