僕のおとしもの

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「どなた…?」 震える声。太一はその涙を直視出来ず、ただ黙ってペンダントを差し出した。 これで笑顔が戻ってくれる。 そのはずだった。しかし、改めて女性の顔を見ると、その顔はさらに溢れ出た涙でぐしょぐしょに濡れていた。 すぐさま顔を反らすと、ペンダントの方にゆっくりと、女性が手を伸ばした。 その手は、ペンダントを受け取らず、太一に一枚の紙を差し出した。 死にます。ごめんなさい。 凛子。 差し出された手紙には、そう書かれていた。
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