チェレステ

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「コムーネ?」 下を向いていた厳が 薫に目線を向ける。 「お前の階級だ。覚えておけ厳。 時計、黄色だろ? それは中間に位置するコムーネの証だ。」 厳は再び 首に掛けていた時計を取出し確認する。 「これって、どういう基準なんだ?」 時計を指差して薫に聞く。 「厳はその時計を庵に渡されたわけだから俺にはよくわからないが… 努力次第であがるんだ俺達の階級は。 そうして俺もここまできた。 ただ、それができるのはアルトロまでなんだが。」 「どうしてアルトロまでなんだ?」 「血筋、だよ。」 厳の問いに 痛みからようやく立ち直った和が答える。 「この街ってねー、血筋とか結構尊重されるんだよねー。 で、アルトロの上のパリーアはねー血筋で決まってるの。」 「パリーアは、とある家系が独占してんだ。」 和に薫が付け足す。 「そうか。どこの家系なんだ?」 「スハル家だ。」 「スハル家…」 薫の口からでた名前を厳は独り言を呟くように復唱する。 「正確に言うとね、スハルブクプ家って言うんだよ。長いし言いにくいから、皆スハル家って呼んでるの」 かおるちゃんなんか特にね、と薫の顔を見て和は口元に手をあて微笑する。 薫は 余計なお世話だ、的な顔をしている。 「その…スハルブクプ家って、名前からして外国人だよな?」 この街って いろんな国の人がいるのか? 厳はそんなことを知りたがった。 「まぁ、いろんな奴がいるだろ。考えた事なかったがな」 「生まれた時から当たり前だったからね。そんな生活が」 「へぇ…」 二人のセリフに こういう系のことはツッコむのは止めようと心に誓った厳であった。 「まあ、スハル家はめったに会う機会はないだろ。 あいつらは俺達との交流を嫌うからな。 ちなみにパリーアは銀色だ」 「何もかもキラッキラだから一目で分かると思うよ。 こう、纏ってるオーラが違ういうかなんというか…」 和が説明に困っていると薫が話の腰を折った。 「さて。んじゃ、これから必要になってくる場所を巡るか」 厳、薫、和の三人は 人気の多いほうへと歩きだした。
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