チェレステ

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「どこへ向かってるんだ?」 周りをキョロキョロ見て歩きながら厳は薫に質問をした。 「着いたぞ。」 厳達一行は とある建物の前で歩を止める。 その建物には “チェレステ間行” と書かれていた。 当然厳は分かる筈もなく 頭に疑問符が浮かぶ勢いだ。 「間行って、何するところだ?」 その質問に薫は答えず 中へと入っていく。 そして厳は和に半ば強引に押されて中へと入った。 厳が来たのを確認して 薫は説明を始めた。 「ここは間行。簡単に言うとだな…」 チェレステでは 働くと“オカネ”なるものが貯まる。このオカネはそのままでは何の利用価値もない。オカネを時間に換えて初めて意味をなす。 そこでここ、間行でオカネを時間に換える作業をしてもらう。 「…と、言うわけだ。 ちなみに…まぁいいか。これはものを買うときに説明したほうが分かりやすいな」 薫は一度言い掛けた事を口にするのを渋る。 「なんだよ、気になるな。」 辺りを見渡していた厳が薫に視線を戻す。 「あとまで内緒だ」 「ちなみにね、」 勿体ぶる薫に変わって 和が説明をし始めた。 ここは間行というのは先程の話で確認済み。 ここ間行で働く人を換期官(カンゴカン)-タイムプレゼンター-といい 、 ・試験を受ければ換期官になることができる ・合格すると特別な訓練を1ヶ月受けなければならない ・なれるのはコムーネ以上である というような事を厳は説明を受けた。 「興味があるなら厳君、なってみたら?」 和は換期官を見ていた厳に向かって投げ掛けてみる。 「いや、俺はいいかな…」 忙しなくただひたすら受け付けに座って客に対応していた換期官を遠目に見ながら 俺には向いてなさそうだ… と厳はひとり、心の中でそう思っていた。 「次、行くぞ!」 薫の声で我に返った厳は お、おぅ… と生返事をした。 そんな姿を見た和は 一瞬どうしたのかと疑問に思ったがすぐにそんな考えを取っ払って歩を進める。 (…気のせいか。) 厳は換期官にある姿を重ねながらそれを否定し薫についていった。
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