序章

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とある港街。 二人組の男女が 肩を並べて歩いていた。 すると 女の方が何かに気付く。 「かおるちゃん!あそこに誰かいない?」 砂浜を指差しながら尋ねる女性…見た目から女性より少女、の方があっているだろうか。 「何度言えば分かるんだニコ!!俺は“つとむ”だ!確かに薫って字を書くが、“かおる”じゃねぇ!!いい加減覚えやがれ」 青年―薫が 少女―和(ニコ)に向かって名前の訂正をする。 「はいはい“かおる”ちゃん」 訂正する気は無いらしい。 「ニコ!!まぁいいや。それよりも人が倒れてんだろ?確かめねぇと。」 半ば名前の訂正を諦めた薫が本題に戻す。 「そうだね、行こ!!」 和と薫は浜辺の人が倒れているという場所に向かった。 「大丈夫ですか?」 和が意識の確認の為 声をかける。 「うっ…」 するとその声に 反応があった。 「かおるちゃん!意識あるよ!!」 和が安堵している、が。 「時計。」 薫が呟く。 「え?」 和が聞き返す。 「時計だよ。そいつ、ノーマイントウォッチしてるか?」 薫の言葉を確かめる和。 「してない…してないよ!」 「漂流者、か…。」 「漂流者…どうするの?」 不安そうな表情をする和。 見つけてしまった手前 ここで放っておくのは気が引けるのだ ろう… 「庵(イオリ)のとこに連れていくか。」 ふ、と薫が言った。 「庵姐のところ?」 「アイツなら、いろいろやってくれるだろ。」 「分かった。」 和と薫は 漂流者を庵と呼ばれる人物の場所へ連れていくことにした。
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