序章

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庵がその場を立ち去った後、和は厳に話し掛けた。 「えっーと…初めまして、になるよね?」 「そうなるだろ。」 和に薫が冷静にツッコむ。 厳をここに連れてきたのは和と薫なわけであって 初めまして、かと言われるとそうではないが その時 厳は気を失っていた訳で 初対面と言えばそうなる。 となれば、 することは決まっている。 「私は小豆畑 和(アズハタ ニコ)。ニコって呼んで。」 「式部 薫(シキベ ツトム)だ。つ…「“かおるちゃん”って呼ぶといいよ。」 和、薫と順番に名を名乗るが、和は薫の言葉を途中で遮り、間違った知識を厳に与えようとする。 「“つとむ”だ!“かおる”なんて呼んだら、はっ倒すぞ!」 それを直ぐ様訂正する薫。 「和さんと薫さん…ですね?僕は正者 厳(ショウシャ イツキ)です。 よろしくお願いします。」 厳は座っていたベッドから立ち上がりお辞儀をして握手を求める。 それをみた和と薫の二人は顔を見合わせもう一度厳を見た。 「堅苦しいね、厳君って。」 「俺たちはそう大して年は離れていないだろう。厳、お前今いくつだ?」 「19、です。」 「私は16だよ」 「お前の年齢ぐらい知っている。」 薫の質問に 厳が答え、和も次いで答えるが薫にそうツッコまれた和はぶつぶつと1人で何か言っている。 「ニコ、何か言ったか」 「別にー。」 「という訳で。厳、敬語と名前にさん付けはなしだ。」 改めてよろしく! と薫は厳に言った。 「よろしく、薫、ニコちゃん」 厳は言葉を返す。 「じゃあさ、挨拶も終わったし早速街へ行こうよ!」 和が庵に頼まれた 本来の目的を口にした。 「それなんだけどさ…」 「ん?」 厳が急に切り出した。
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