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窓から眩しい日差しが差し込み、ベッドで寝ている男の目蓋を照らした。
「……朝か」
この男の名はアレイン。街の水道工だ。
彼の朝はこの日差しから始まる。彼は目覚まし時計が嫌いなため、毎朝窓から差し込む日差しを受けて起きるのだ。
彼の自宅の隣は空き地になっているため、日差しがよく入ってくる。
外からは既に行商人の客呼びの声がしている。全く活気のある街だ。
上半身だけ起こして壁に掛けてある時計に目をやる。丁度朝の七時四十五分を指しているのを確認してからアレインはベッドを降りる。
あくびと伸びを同時に行うと固まっていた背骨がパキパキと音を立てた。いつも通りの鳴りっぷりで少し安心した。
この六畳ほどの部屋はいわば寝室。二階にはこれしか部屋が無い。
寝癖のついた髪をよけながら頭を掻き、気だるく階段を降りる。一階には水洗トイレと八畳のリビング、それとキッチンしかない。
パンをトースターで一枚焼き、口にくわえながら朝刊を玄関のドアポケットまで取りに行く。
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