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ふとカレンダーに目をやると今日の日付に殴り書きで「八時から三丁目、仕事」と書かれているのが目に付いた。
自分の字も汚いものだ、と頭を書きながらペンで横線を引いて消す。
ふとカレンダーの隣の時計に目を移すと針は既に八時を指している。
「……嘘だろオイ!」
慌てて椅子から立ち上がって灰皿でタバコの火をもみ消す。その反動で椅子が倒れたが気にしない。クローゼットから汚れの目立たない紺色のつなぎをパジャマの上に着、クローゼットの上の仕事道具のレンチやスパナ、プラスとマイナスのドライバーなどが沢山入った赤い工具箱を背伸びして取る。
「いやいやいや……!! 遅刻はまずい! 待っててくれよ……!!」
急いで飛び出すも足の小指を先程倒した椅子にぶつけて悶絶する。
「――ッ!!!! いってぇぇ!! ……くそっ! 朝から不幸だ……!」
思えば、この日から彼の人生は変わっていた。
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