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その日の夜はしんしんと雪が降り積もる深夜のことでした。
(小雪)「―――‥」
(母乳を飲む赤子)
「パサ」
(小雪)「…?」
(???)「坊はもう寝たのか?」
後ろからふと何か羽織のようなものを掛けられ私は愛しいその人(鬼)の名前を呼んだ
(小雪)「劉黒(リュウコ)さん‥」
(劉黒)「坊がやけに大人しいと思ったら‥今は母乳の時間か」
微笑ましいものを見るように夫は我が子のほっぺを鬼の手で傷つけないよう丁寧に優しく触れた
(劉黒)「小雪、ありがとな 坊を産んでくれて」
(小雪)「―――‥!」
「‥‥‥‥。」
その言葉に私はどれだけこの人に愛され、救われてきたのか‥
(劉黒)「……。」
俺には一生添い遂げる妻が必要だった。
どうしても‥
――2ヵ月前――
(祢々斬)「人間の女を捕まえてきた!?」
「!?」
祢々斬の思わぬ発言に軽く咳き込む玉串
(劉黒)「あぁ、そんな強引じゃないがいずれ俺の嫁に迎えるつもりだ」
(祢々斬)「つもりって… まだ手を出してないってことだろ? なんでまたそんな…」
紅玉の丘でその日、月見酒を味わいながらいつものように祢々斬と玉串の三人で杯を交わして俺達は話し込んでいた。
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