短編集

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その笑顔には恥ずかしさを必死に隠すような、はにかんだ姿の小雪がとても可愛らしくて、 その感情は愛しいと思える程、俺は小雪の事をいつのまにか好きになっていたのかもしれない‥‥ ───縁側─── (小雪)「劉黒様は、桜が似合いそうですね」 (劉黒)「……桜か‥。 どうしてそう思う?」 (小雪)「‥‥。よく‥分からないのですが‥ 時折、とても儚げな‥‥ 何か、思い詰めた顔をしてらっしゃる時があるような気が致します‥。」 (劉黒)「 ――… 」(驚く) (小雪)「…だけど、私には力強く咲き誇る桜花のような人目を引きつける‥そんな方のようにも見えて‥劉黒様にはずっと桜花なままの方でいて欲しいと私は思っています」 「――‥だから 桜です。」 (劉黒)「………。」 例え子が成せなくても 小雪は… “人を愛せる女だ‥” 俺の事も‥お前をいつも見ていたように思えて実際見られていたのは俺の方だったのかもしれない‥ もっと… ちゃんと どうして誰もこいつの事をこんなにも見てやれなかったんだろう‥ “あんな仕打ち‥” 劉黒はあの日の事を思い出した。
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