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それなのに‥
あの人が私を今でもずっとここに置いてくれているのは‥
“俺の嫁になれ”
“傍にいろ‥”
(小雪)「―――…、」
(涙)「ジワ‥」
“ずっとお傍においてくださいって言えない”
“たとえそれが本当の素直な気持ちでも‥”
私は人間であの人はこの里の大事な鬼の当主様
私は……
“世継ぎを生むことも出来ない‥”
(小雪)「時頼様の言うとおり‥私は――――、 うっ…!」
すると、ふすまの向こうから誰かの声がした。
(???)「小雪様 まだ起きてらっしゃいますか?」
(小雪)「―――… 白老‥様ですか…?」
(白老)「劉黒様の事で少々お話がございます。少しだけお時間をもらえないでしょうか?」
(小雪)「劉黒様の‥」
(白老の部屋)
(白老)「さぁ どうぞこちらへ」
小雪は恐る恐入る。
(白老)「申し訳ありません こんな夜更けに貴方様をお呼び立てしてしまって」
(小雪)「いえ、大丈夫です。あの‥ お話とは」
(白老)「…… 実は、ご当主の事で折り入って小雪様にお願いしたい事がございます。」
(緊張が走る)「……。」
──紅玉の丘──
(祢々斬)「すっかり遅くなっちまったな」
(玉串)「そろそろ俺はこの辺でおいとまさせてもらおう、明日も 仕事が早いからな」
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