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(馬を引き上げる)
(小雪)「…っ お許し下さい時頼様っ」
(劉黒)「 人間‥か、」
(小雪)「どうかこの紐を…」
「ギシ‥」
(劉黒)「…!」
悲しく悲痛に訴えかける小雪は頑丈な紐で手首の自由を縛られ必死に【時頼】という男の名を叫び続けていた。
(時頼)「何だ?」
(小雪)「――‥申し訳ありません‥ 申しわけ‥どうか、命だけは…」
顔をうつむかせ必死に命乞いをするも、時頼という男は顔色何一つ変えずにそれどころか冷たい声で小雪に言い放った。
(時頼)「役目を果たせぬ女は無意味だ、おまえは生き恥をさらす気か?」
(家臣)「北条家は今や時頼様の世継ぎでの大事な時期となるこの時に“子を産めぬ”ようではおまえは不要だ」
(時頼)「…悪く思うな お前はこれから先、“女”として生きていくのはあまりにも不便過ぎる。せめてもの人目のつかぬ所で息絶えるがこれも運命と受け入れよ」
(劉黒)「……。」
「(なんて事を…)」
(小雪)「―――…」
自分達の言っていることは何一つ間違ってないと言わんばかりに小雪に背を向けると男達は馬を走らせその森を後にした
「―――――」
縄くらいは…と劉黒は助けようとするが、
「旦那。」
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