花葉という狐

3/6
前へ
/22ページ
次へ
「あれ?」  ふと社(やしろ)を見ると、戸がほんの少しばかり開いていた。  いつもはきちんと鍵がかかっているのに。  智が戸を引くとすんなりと開いてしまった。  中は薄暗く、奥の方まではよく見えない。  覗き込もうと身を乗り出した時だった。 「うわっ!」  思わず躓き、中へと倒れ込んでしまった。 「いってー」 と、強(したた)かに打った額をさすりながら、手を横に伸ばすと、ちょうど柵があり、つかまり、立つ。 そこでふと思った。 (柵……? 社の中に、柵なんてあったか?)
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加