花葉という狐

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 右手がつかんでいる先を見ると、細かい細工のしてある赤い欄干。さらには、水の音。 (橋の上?)  ハッとしてあたりを見渡すと確かに自分が立っているのが、橋の上だとわかった。  遠くには、修学旅行でしか見たこと無いような、五重塔がそびえ、手前には森が広がっていた。  さらに周りには青い光が数多く舞っている。 「コモリ様?」  困惑する智の耳に、鈴を転がすような声が届いた。  振り返ると、美しい人が立っていた。  かわいいよりも美しいの方がぴったりと当てはまる。  そんな人。  肩ほどの金色の髪に、真っ白な着物。  浅葱色(あさぎいろ)の帯に、手には提灯(ちょうちん)を持っている。
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