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ドアを開け、宮藤の部屋に入る 「来たかね…」 私は宮藤を睨み付ける… 「邪険にしないでくれ」 宮藤は苦笑いしながら立ち上がる 「私は君と話すことが沢山だからね」 宮藤は私に座れ、とソファーを指した 私はソファーに腰掛けた 「まず君に助けられた上谷君は、君に『ありがとう』と言っていた」 「そうか…」 私はそれを聞いてホッとした 「まずは変わった君の立場について話そうか」 「立場…?」 私は立場という言葉が気になった 「君には人権が認められた…つまり人として最低限の生活が認められた…だから今後は任務でなくとも自由に行動が出来る」 「そうか…」 しかし《鬼》を狩らねばならないのは変わらない 「次に君には名前が必要になる」 「名前か…」 「だから前回の偽装名の橘香織という名にしようと思う。どうかね…?」 「私は坂月弦佳がいい…」 坂月弦佳…私が唯一共感した人の名だった 「わかった…よろしく弦佳君」 「ああ」 そして宮藤は刀を取り出した 「君の新しい武器だ…と言いたいが君専用の刀は制作中だよ。しばらくの間はその刀で我慢してくれ」 「助かる…」 私は刀を受け取った 「次の任務がある…」 「わかった…」 任務か… 「今回は中国の四川省の骨切村に向かい《鬼》を倒せ」 「骨切村はマズいのだろう」 「ああ…<匣>がある。今回の任務は厳しい…少なくとも今回の鬼は<匣>を狙っている可能性がある」 最悪の事態だ 「今回は自我のある人鬼だ」 「自我のある人鬼…という事は…」 「そう…《灰》だ」 《灰》…最強の《鬼》 《黒》が無敵なら《灰》は最強 つまり今回は下手な事をすれば私は死ぬ 「人鬼<ペスカ>だ」 <ペスカ>…人鬼の中でも強力な部類に入る一体 自我が有り人の言葉を喋る 発見は730年ぶりとのことだ 私の今回の敵が<ペスカ>ということだ
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