1

3/9
前へ
/54ページ
次へ
 魔法は存在しない。それが、科学が導き出した結論だった。杖から魔法が飛び出すのも、目的の場所に一瞬で移動するのも、全ては夢物語で小説や漫画の中でしかありえない。そう言われていた。      しかし、七年前、俺が九歳だったとき、その科学者の考えを粉々に打ち砕く、ある出来事が起きた。  日本から三十キロほど離れた太平洋に、突如謎の島が出現したのだ。また、それだけではなく、人工衛星の超高感度カメラは得体の知れないその島に、人の姿を確認した。  メディアはこのことを連日報道した。特番も組まれ、謎の島は世間の話題をさらった。ひときわ国民の興味を引いたのは、この島が比較的日本の近海に出現したことだった。しかし、緊急の世界会議なども開かれたにも関わらず、政府はこの件についての発言をせず、島への接近も禁止されたため国民は詳しいことは何も聞かされずにいた。
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加