廃城の記憶姫

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ベッドの上で、『ここはどこか』と呟く貴方の声を、私は今日もドア越しに聞いている。 ここは永遠の時間を刻むお城。 私のお城。 同じに繰り返す時間の中で、貴方は終わらない今日をずっと過ごすの。 進みも戻りもしない永遠の時間。 貴方が来てからもう一年。今日が終わっても、また今日が始まるの。 なんて素敵なのかしら。 笑いが止まらないわ。 今日はどんな物語にしましょうか。 どんな役を演じましょうか。 延々と繰り返すこの城で、私と貴方は毎日恋をする。 そう。貴方は今日も、恋に落ちるの。 イカリソウのもう一つの花言葉。だけど教えてあげない。私の秘密。 貴方は私だけのもの。 私の記憶にだけ在ればいい。 込み上げてくる笑いを一生懸命我慢して、私は今日も扉を開ける。
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