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「痛いなぁ」
翔は、さほど痛くも無さそうな表情で笑う。
気に食わない気に食わない気に食わない!!!
初めっから嫌な奴だとは、思っていたが
予想以上に酷い奴だった。
「ここ図書室なんだ、静かに読書だけをしろ!」
心咲は、そう言うと
翔から本を引ったくる様に奪い返した。
翔は、手を緩めてくれたらしいが
そんな事、どうでも良かった。
キッと
睨みを効かせてから、本の背表紙を確かめる。
そして、本棚に返す為
カウンターから出た。
背表紙の番号を見つつ
本の有った場所を探す心咲。
番号の棚を見付け、場所を目で確認した。
あそこか…
心咲は、恨めしげな顔をし
本棚を眺める。
届かない…
仕方ない、踏み台を持って来ないと
「やっぱり届かないんだぁ
背低いもんね」
すぐ後ろから、嫌な奴の明るい声が聞こえ
振り向く
「煩いっ…」
なっ!
振り向けない…
思った以上に、翔が近くに居たのだ。
それも
翔の胸元が、自分の肩に当たるぐらいの位置で
「俺が入れてあげる」
心咲の手から本を取って、軽々と本棚に返す翔
「っ…」
近すぎて、翔の息が耳にかかってしまった。
思わず赤面してしまい
顔を隠す為にうつ向く心咲
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