序章

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廊下ですれ違う度に、目で追ってしまう自分が居た。 そして、毎回 彼が行ってしまった後に、自己嫌悪に陥るのだ。 そして 今日も、そんな日常化してしまった事を繰り広げるのだと そう思っていたのに 今日は、いつもと違っていた。 すれ違い様に彼が、ボールペンを落としたのだ。 俺は、思わずそれを拾い 彼を引き留めた。 明らかに不機嫌な顔を見せる彼 ボールペンを渡す。 何か言わないと そう思った。 せっかくのチャンスだ。 友達位には、なりたい 「君も新入生なんだよね?靴紐、同じ色だし」 慌てて出た言葉は、当たり前の事だった。 彼は、更に不機嫌そうな顔をし 此方も見ずに立ち去ってしまった。 なんだ この敗北感は 女の子なら、もっと上手に扱える積もりなのに 相手が男だと、要領がさっぱりだ やっ 別に、彼女にしたいとか そんなんじゃないんだけど… 男友達って、勝手に出来てるもんだし そんなモウモウとした頭で、立ち尽くしていた俺に 話掛けて来たのは、朱里だった。 ただのクラスメイトだ 俺に気が有るようだが 俺は、別に何とも思ってなかった。
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