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「大切に育てるさ・・・火行の鬼、崩月山の祢々斬の赤子だ、闇の鳳凰
にも成り得るだろうよ・・・くくっ・・・楽しみだなぁ・・・
力がつくまで、他の何も知らぬ里人にでも育てさせるさ」
女の瞳が男の深淵を見た時、赤子は男の手に渡り、女は背後から雑鬼
達に切り裂かれていった。
男は、鮮血で汚れた赤子のおくるみを剥ぎ、血溜まりに捨て、立ち去った。
続いて二つ目の珠が弾ける。
また白い光が広がり、裏庭に場面が変わる。
櫟の木の根元から、深緑色の闇のような光が溢れ、月讀が掛けた注連
縄が契れて落ちる。
そこから現れたのは、灰色の髪の男だった。
手には、見たことのある霊珠が、重々しい作りの数珠に繋げられている
ものを持っていた。
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