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“朱里!朱里よ! われの声が聞こえるか?起きよ、起きて憎き鬼に
加担する、僧侶どもを一掃して来い!
北方の多門寺と南方の増長寺を手始めに、お前のその力を存分に発揮
してくるが良い!
覚醒してから、更に強くなっているはではないか、素晴らしい!”
男の声無き声が、闇の中に響き、茜はむくりと起き上がった。
だが、その瞳は虚ろで、精気が無い。
ふらふらと立ち上がり、歩き出すが、足音どころか、衣擦れの音さえも
しない。
やがて、庭に来た茜をその男は羽織でくるみ、櫟の木下に消えていく。
光が薄れ、辺りが通常の世界に戻っていくと同時に、茜が悲鳴を上げた。
一気に朱の炎が立ち上がるが、藍が抱きつき炎を押さえ込むと、今度は
室内にも関わらず、旋風が巻き起こり、辺りの物が風に飛ばされ出す。
玖 「茜ちゃん!!」
玖々廼馳が咄嗟に絶叫を上げる茜を藍ごと抱きしめ、唇を塞いだ。
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