第 3 章  仕組まれた愛

83/84
前へ
/282ページ
次へ
御所に着いた 着飾った碧が祢々斬にエスコートされ前庭を歩いている。 碧は、当時持参した服を無月に仕立て直してもらい、着まわしていた。 淡い小花柄のオーガンジー風の生地と着物の生地を合わせた碧デザイ ンのワンピースを、公の場で お気に入りで着ている。 色が白く、亜麻色の髪の碧によく映えている。 祢々斬はそんな奇抜な碧の衣装を、誉めこそしないものの笑って眺め ている。 祢々斬が碧を連れて座敷に戻ると、帝も含め、居合わせた者たちから ざわめきが起きた。 感嘆の声のようでもあり、侮蔑の声のようでもある。 帝はそれでも不思議ないでたちの碧を気に入っているらしい。 「おお、稲伝どの、美しい」 祢 “当たり前だ、俺の女だ” 門まで迎えに出た祢々斬は、歩きながら茜の事情を碧から手短に聞いた。 image=457272667.jpg
/282ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加