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御所に着いた 着飾った碧が祢々斬にエスコートされ前庭を歩いている。
碧は、当時持参した服を無月に仕立て直してもらい、着まわしていた。
淡い小花柄のオーガンジー風の生地と着物の生地を合わせた碧デザイ
ンのワンピースを、公の場で お気に入りで着ている。
色が白く、亜麻色の髪の碧によく映えている。
祢々斬はそんな奇抜な碧の衣装を、誉めこそしないものの笑って眺め
ている。
祢々斬が碧を連れて座敷に戻ると、帝も含め、居合わせた者たちから
ざわめきが起きた。
感嘆の声のようでもあり、侮蔑の声のようでもある。
帝はそれでも不思議ないでたちの碧を気に入っているらしい。
「おお、稲伝どの、美しい」
祢 “当たり前だ、俺の女だ”
門まで迎えに出た祢々斬は、歩きながら茜の事情を碧から手短に聞いた。
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