第 3 章  仕組まれた愛

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御所の前庭より、二人が屋敷に入ろうとした時、一羽の白鷺が二人の 目の前に降り立ち、その姿が無月の姿をかたどる。 そして 久遠が見せた回想球の内容を簡潔に伝え、消えていった。 祢々斬の全身から、紅い光が立ち上がる。 碧 「祢々斬・・・!」 碧がとっさに祢々斬に抱きつき、怒りを鎮めようとする。 碧 “ここでは駄目! 謀反として見られるわ!” 祢々斬は込み上げる怒りを何処にぶつけて良いか判らず、ただ拳を握り 唇をかみ締めた。 懐に抱きついている碧を今の感情のまま抱きかかえれば、殺してしまい 兼ねない。 握り締める拳と、唇から血が流れる。 式神と二人の様子をかなり離れた所から月讀が見ていたが、全て見通 していたようで、月讀も同じく拳をぶるぶると震わせていた。
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