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茜 「どうしよう・・・玖々廼馳、あたいもうこれ以上、要兄・・・やつに操
られたくない。
櫟の封印も解かれてしまったし、月小父も父様も母様もいない・・・」
茜の朱の瑪瑙色の瞳から、次々と涙が溢れてくるのを玖々廼馳は自分
の袂で押さえるように拭く。
玖 「大丈夫、まだ夜までには時間がたっぷりあるし、皆居るから、ゆっく
り、考えよう。
僕なんか、こうして力任せに君を押さえる事しか出来なかったけど、他の
皆は違う。
僕なんかより大人だし、竜尊なんか、千年以上この崩月山を治めてい
るんだよ、きっと何とかなるよ」
顔を上げた茜は玖々廼馳の頬に釜鼬で出来たであろう切り傷が有るの
に気付いた。
その傷に細い指を這わすと、玖々廼馳がその手をキュッと握ってしまう。
玖 「平気だよ・・・僕の力が足りないばかりに、茜ちゃんに辛い思いを
させてしまう」
そう言った玖々廼馳にその手をいきなり引かれ、また身動き取れない
程の抱擁を受ける。
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