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崩月山の紅い鬼、祢々斬、その名を知る者はまだ結構おり、未だに鬼を
恐れる人々は大勢いた。
崩月山の鬼たちは、悪さをしなくなったが、違う土地には他にも鬼は存在し
ているので、あくまで影の助力者として、月讀を手伝っていた。
その日の魔物退治は、簡単に終わり、祢々斬の出番は無かったが、退治が
終わった二人の間に、一陣の風が吹き、白い遣い狐の姿が浮かび上がり、
月讀が足を止めた。
月 「久遠・・? 何か有りましたか!」
月讀の顔つきが変わる。
白い遣い狐が 抑揚の無い声で告げた。
「月讀、祢々斬急ぎ帰れ・・・茜が何者かに連れ去られた」
木の陰でそれを見ていた祢々斬が、ガバリと立ち上がった。
祢 「月讀! 今のはっ?」
月 「無月の式神です!祢々斬貴方の方が足が速い、先に行け!」
祢々斬は月讀の言葉を聴き終わらないうちに 走り出した。
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