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謝る司に笑顔で首を横に振り「なんでもないよ」と答える。それだけで司はホッとしたような顔をした。
いったん箸を置いた佐伯が、仁美に問う。
「一体、どうしたん?本間ちゃん」
「うん。もうすぐ夏休みじゃない?だから、遊びに行こうと思って誘いに来たんだよ!」
にっこり笑う仁美とは対照的に、少し疲れた様子の司はその場にしゃがみこんだ。
指先を机にかけて、膝を付いている。心なしか息も上がっているような。
「どうしたの?真壁さん…具合悪いの?」
「ううん…。ちょっと、疲れただけ…」
そう言って笑う顔は、何処か無理をしているように見えた。
もう一度声をかけようとした時、司の頭にポンッと手が乗る。
「司はちょっとバテてんの!まったく、ちょっと走ったくらいで」
「ちょっとじゃなかったよ…!?階段、何回登り降りしたか…」
仁美へ振り返る司の長い髪が、ふんわりと揺れた。
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