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相葉が苦笑いしながら、拓真の鼻を摘まんだ。
「んーまぁ。当たり前の事だし、わかってる事でもあるけどね。俺らだってこんな風に先輩達を見送ってきたんだし」
「…ふがっ!!」
「君らも同じ立場になるんだ。お前もだぞ?響」
「わかってますよ」
話を振られてうなずいたが、やっぱりいつかは……と思うと、寂しくもある。
ふいっと相葉から目を反らすと、相葉の大きな手が頭を撫でた。
「遊ぼうと思えば、いつでも遊べるんだぜ?またこうやって集まれたら、嬉しいな」
こういう時の相葉はすごくずるいと、響は思う。
いつもの、自信満々で怖いもの無しな顔から、急に優しくて懐の広いお兄さんになる。
大きな手で頭を撫でるのも、いつも自分が小さい子供のようだと思わされる。
眼鏡の奥の瞳を優しく細めて、司を見る姿からは過剰な程に愛しさが伝わってきて、悔しい。
司と同じ歳の自分には出来ない見つめ方だから。
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