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ザワザワと落ち着かない様子の教室はまだ、昼休みに入ったばかり。 退屈な授業が終わって、グッと腕を伸ばしていると、前の席の佐伯が振り向いた。 「きょーうちゃんっ♪お昼食べようぜ」 「いい加減その呼び方、やめてよね…」 「いいじゃん♪かわいくて」 「かわいくなくて結構だよ!」 誰にでも"ちゃん"を付けて呼びたがる佐伯にため息をひとつ吐いて、机の横にかけてあるバッグを持ち上げる。 真っ黒なスクールバッグの中に、今朝買ったパンが入っているのだ。 パンを机に出していると、椅子をひっくり返した佐伯がため息をついて言った。 「響ちゃん、またパン?」 心底呆れた顔で椅子に座った。
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