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後ろを振り向こうとした時。
背後にいた人が、ぶっ飛んだ。
床に身体をぶつけ、転がっていく音が聞こえる。
は?と思う間もなく、響は肩を掴まれた。
「響!大丈夫かっ!?」
「……えっ?拓真先輩…?」
肩を掴んでいたのは拓真で、かなり動揺というか心配したような顔をしている。
後ろに居たのは、先輩じゃなかったのか?
響はおそるおそる、ぶっ飛んだ人の方を見た。
痛めた腰や肩を庇いながらゆっくりと立ち上がろうとする男に、響は見覚えが無かった。
日焼けして真っ黒な肌。
ガタイのいい体つき。
そして金髪。
手には、ロープを持っている。
うん。こんな知り合いはいない。
「テメェ、よくもやったな……。
よぉ、黒髪のかわいこちゃん。昼間は素敵な蹴りをどうもな」
セリフの前半を苦々しく拓真に向け、後半を響に向けて言う。
あれ?こんな人、知らないんだけど……。
響は身体にタオルを巻くのも忘れ、首をかしげた。
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