6/14
前へ
/124ページ
次へ
佐伯が箸を揃えて持ち、手を合わせて「いただきますっ」と言うと、弁当を食べ始めた。いきなりがっつくかと思ってしまうが、意外と大人しく食べる奴なのだ。 佐伯は弁当の中から肉系のおかずをヒョイヒョイと蓋に取ると、差し出してきた。 「青白い顔して、何が調子いいだよ!…ほら、パンだけじゃ足りねーだろ?」 「大丈夫だって言ってんのに…」 「いいから食えっ!!」 「わかったよ、ありがとう」 パンを押しのけてまで目の前におかずが乗った蓋を差し出すものだから、仕方なくも有り難くいただくことにした。 肉ばっかりもらってもなぁ。という苦笑いは佐伯に見えないように隠しておく。 そんな男二人の昼食に乱入する姿があった。
/124ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加