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(何だアレ…!?悪魔なんて本当にいるはずがない……!!
これは夢だ、そうだ悪夢に決まっている!!)
まるで暗示のように強く夢だと思おうとする蝶華。
しかし、『それ』はそんな蝶華の考えを見透かすように、傍にあった自動販売機に拳を打ち付けた。人と比にならないその拳は、自動販売機に簡単に突き刺さった。
ガラガラと勢いがついた缶が自動販売機から転がり出し、そのうちの1つが蝶華の足にぶつかる。
ぶつかったアルミの衝撃が、足に痛覚を伝えた。
「夢…じゃない……?」
自動販売機から拳を抜いた『それ』は再び蝶華に近づく。
「コロス…コロス………!!」
呪詛のように呟く『それ』の拳が上がる。
(コイツ、私を殺すのか…?あの自動販売機みたいに、簡単に…?私…こんな最期なのか…?)
恐怖で震える身体で何とか距離を取ろうと後ろに下がるが、すぐに行き止まりの壁にたどり着く。
這いつくばる虫けらを見て楽しむように、『それ』はジリジリと近付く。
「いや……!来るな……!!」
「ガアァァァァァァーーー!!」
あっという間に距離を詰めた『それ』は、唸り声をあげ、蝶華に拳を降り下ろした。
死ぬ…そう感じたその瞬間、蝶華は目を瞑った。
「お父さん…!!お母さん…!!」
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